NHKの長寿番組『連想ゲーム』では女性軍キャプテンを長年務め、お茶の間の人気者に。アニメ『オバケのQ太郎』ではQ太郎の声で親しまれた天地総子さん。そのマルチな才能はCMソングの世界でも発揮され、なんとこれまでに2000曲以上も手がけたといいます。今なおお変わりなく、明るく元気ハツラツとご活躍されている天地さんに、健康法やイキイキと歳を重ねる秘訣をお聞きしました。

運動はもっぱら”ながら”です。

　舞台は稽古だけでも１〜２か月続く長丁場。そして、一番疲れが溜まってくる頃に本番が始まるような塩梅なんです。それだけに、体調管理には気を遣います。もっとも、毎日これをしなければいけないなどとノルマを課すと、続きませんから、私のはもっぱら”ながら“運動法なんです。歯磨きしながらバレエの基本レッスンで筋力アップ、テレビを見ながらの腹筋にスクワット、お風呂タイムには、湯船につかりながら手足をバシャバシャ２００回位動かすといった具合ですね。一つ一つは大した時間ではないですけど、一日合わせたら、けっこう体を動かしていることになるんですよ。私みたいなものぐさには、コレが一番ですね。
　体力アップには食事も大事ですが、もともと食が細いものですから、栄養補給のためにコラーゲンを飲んでいます。激しい踊りもあれば、ハイヒールで舞台をかけまわることもありますので、これまで膝のトラブルには随分悩まされてきました。歳とともに体のコラーゲンはどんどん減っていくそうですが、コラーゲンを飲むようになって、膝の調子がすごくいいんです。それに、美容にもコラーゲンは欠かせませんでしょ。やっぱり歳より少しでも若く見られたいですから、毎日欠かさず飲んでいます。

結婚・離婚、そして復縁

　おかげさまで体は丈夫ですから、大きな病気もなく、今まで仕事を続けてこられました。今はマイペースでお仕事させていただいていますけど、20〜30代の頃は、それこそ寝る暇もないくらいに忙しく毎日を過ごしていました。３３歳で結婚してからは、家の中のこともしっかりやらないといけないという気持ちもあって、仕事の合間を縫って家に帰っては食事を作り、すぐまた仕事に戻るなんていう生活を続けていたんです。それで、ほとほと疲れてしまったんですね。結局、仕事を取るか、家庭を取るかの二者択一を迫られまして、40歳のときに離婚を決意したんです。

その後独りになってみて、あらためて家族のあたたかさが身に沁みてわかって、心の底から後悔しましたね。このままがむしゃらに仕事をこなしていくだけでいいのかしら、それがいい仕事といえるのかしら、それが私の人生なのかしらと悩んだ末に、思い切って事務所を辞めたんです。その後、個人事務所を立ち上げ、自分のペースで仕事ができるようになって、少しずつ気持ちにゆとりが持てるようになり、有難いことに主人とも復縁することができました。

ボランティアを通じてお役に立ちたい

華やかな天地さんのステージ。笑顔も歌も素敵です

　歌の方ではサマーコンサートやクリスマスディナーショーが恒例となっておりますし、昨年は、「天地総子朗読の世界」という朗読会も大阪で開催し、大変好評でした。こうしたお仕事と並行して、力を入れているのがボランティア活動です。「あゆみの箱」などの活動を通して、障害を抱えた方々の前で歌わせていただく機会もございます。五体満足でいるという幸せを意識しないままに生きてきましたが、それはとても感謝しなければならないことなんだと、ボランティアを通じて逆に教わることが多いですね。若い頃は自分のことばかり考えているような生活でしたけど、今はできるだけ人さまのお役に立ちたい、そう思っております。

同じ一日なら笑って過ごしたい

今日という日は、泣いても一日、笑っても一日。どうせなら笑って過ごす方法を考えよう、と思うようになりました。
　離婚したばかりの頃、街中のショーウインドウに映った自分の顔を見て愕然としたのを覚えています。「えっ、これ誰？私じゃないわよね？」って（笑）。毎日泣き暮らしていたものですから、鏡を見る気力さえ失っていたんですね。これでは芸能人失格です。以来、つとめて笑顔で鏡に向かい、心を明るく前向きに持っていくようにしています。『和顔施』という仏教用語がありますが、どんな人でも笑顔ほど素敵なものはないと思います。